色々な温度計を調べてくる簡単なお仕事

冬休みの課題だったものを今更( ´ー`)y-~~おいすー

「熱力学Ⅰ」レポート課題

原理の異なる温度計5種類調べてこい。(だだし、気体・液体の膨張を利用したものは除く)

抵抗温度計
金属または半導体の電気抵抗が温度とともに規則正しく増加するのを利用し,抵抗を測定することにより温度を知る温度計であり、最も一般的なものは白金抵抗温度計で,雲母または磁器製の薄板に白金線を巻き,磁器,石英ガラスまたはニッケル製の保護管に封入する。

温度が上がると金属の抵抗値は多くの場合増える。
 このことは「温度が高くなると金属中の原子核の動きが活発になり、自由電子が動くときの邪魔が増える=電流が流れにくくなる(=抵抗値が増える)からだ」と考えると、納得しやすい。
 抵抗値と温度の関係をあらかじめ調べておけば、金属の抵抗値からそのときの温度がわかり、アルコールや油と違って沸騰の心配が少ないので、広い温度域で使用することができる。
 材料としては、主に白金線が用いられるそうです。

 さて、大抵の金属は温度が高いほど抵抗値が増えるのですが、逆に“温度が高いほど抵抗値が減る”という性質を持つものもあるそうです。
 これは一部の半導体に現れる性質です。
 もともと半導体は電子の多くがしっかり原子核に引き寄せられていて、原子核から離れることが困難であるから電気を少ししか流しません。
 しかし温度が高くなると、原子核だけでなく周りの電子も活発に動けるようになり、原子核からの引力を振り切って、動き出せる電子が増える=抵抗値が減る。

 このような半導体の抵抗値は、先に述べた白金の抵抗値よりも温度に応じて大きく変化するので、温度計への利用に適している。(温度によって抵抗値が大きく変化する物質をサーミスターと呼ぶ)

放射温度計
物体から放射される赤外線や可視光線の強度を測定して、物体の温度を測定する温度計である。
これらの赤外線や可視光線といった熱放射は黒体放射によって生じ、温度と放出エネルギーとの関係を表すシュテファン=ボルツマンの法則およびプランクの法則によって、物体の温度を算出することができるのを活用している(色温度)。
放射温度計の主な長所は、測定が高速に行えることと、非接触で測定可能な点である。非接触で測定可能なことは、熱伝導によって測定対象と温度計とが同じ温度になる必要がある多くの温度計・測定方法と違い、短時間で温度測定が可能となる要因ともなっている。
以前、使ったことがあるのですが、非接触型の温度計というのはとても不思議でした。

溶鉱炉の中の温度を計ったり太陽の表面の温度を測ることができるらしい。
溶鉱炉の温度を測るという技術的な要求から、量子論が出てきたということはよく知られている。
その熱輻射のスペクトル(background radiation)から宇宙の初期の様子がわかるらしい。

バイメタル式温度指示計
バイメタル(BIMETAL)とは、温度による膨張係数の違う2種類の薄い金属板を重ねて貼り合わせたものを言う。

図(1)は最初の状態を示しており、バイメタルの周囲温度が上昇すると、高膨張側の金属が膨張し長さが延びるが、低膨張側の金属はほとんど膨張しないので、バイメタルは図(2)のように上方に反り返り、温度がもとにもどればバイメタルはまたもとの状態にもどる。
バイメタル式温度指示計はこの原理を応用し、実際にはバイメタルを図(3)に示すように「つるまき状」に巻いたものを使用し、このバイメタルの一端を固定 しておくと周囲の温度変化によって回転運動となり、その端に指示針を付けておけば温度を示す形となる。
バイメタル式温度指示計の基本構造

1. ガラス式温度計と比べて堅牢であり、指示が読み取りやすい。
2. 液体およびガス封入圧力式温度指示計と比べて、圧力系統部及び拡大機構部が無く、トラブル要因が少ない
蛍光温度計
光ファイバー蛍光体を分散させておき、蛍光寿命の温度変化から温度を計測するもの。 電子レンジの中の温度など、高周波の下での測定などに有効。

光学部のしくみ

光ファイバー先端に極薄の蛍光物質を接着し、これに光ファイバーを通して閃光をあてると、蛍光輝度の減衰が温度に応じて大きく変化する。
蛍光緩和時間の計測

マグネシウム蛍光体の蛍光緩和特性は、温度に対してほぼ完全に対応しているので、この蛍光緩和時間を計ることによって温度に換算することができる。
水晶温度計
水晶の発振周波数の温度依存性から、温度変化を読み取る。 高感度(〜1/10000 K)の測定が可能。

水晶温度計は消費電力が少ないことが特長。
このため、環境温度があまり変わらず、高精度の温度測定ができる。
また、測定時間を長くすることで、0.1m℃の分解能を得ることができる。

  水晶温度計の原理

水晶の結晶を温度係数が大きな方向に切断した 水晶振動子(水晶温度センサ)を使用。
そして、水晶温度センサの振動数が温度の変化に対応して変化する性質を利用し、温度の変化を振動数の変化として検出する。
水晶振動子の振動数の固有振動を測定の基礎にしているため、経年変化が少ない高精度の温度の温度測定ができ、測定間隔を長くすれば分解能をあげることがでる。
提供するセンサボードからは、温度変化に対応する数値が伝送されてくる。
その数値を受信専用のマイコンボードで温度に変換する。

感想
単純に「温度を計る」といっても何をどう測定しているのか、考えていくと本当に深い話になりそうです。温度に関連する話題だけで、物理の全範囲を覆えそうです。
そもそも温度とはなんなのかと考えてみても、興味深い題材かもしれません。普段、体感的に“熱い”とか“冷たい”と言っているのは、温度の違いというよりも 熱の奪われやすさの程度(比熱の違い)を感じているといえるのでしょうし。“温度”という概念がよく生まれてきたものだなぁと感心します。



出典:安立計器株式会社
出典:旭計器工業株式会社
出典:有限会社テクノ東郷
出典:日立ソリューションズ